オステオパス視点でのイギリスおける脳性麻痺のリハビリの現状について

JTOC(日本トラディショナルオステイパシーカレッジ)の授業で来日されたイギリス人の先生が、普段は主に脳性麻痺のお子さんの施術に携わっている事をお聞きし、イギリスにおける脳性麻痺のお子さんのリハビリの現状も含め、どんな考えで施術しているのかなど、長年、オステオパスとして小児の施術に携わって来た経験からに基づいたご意見がどんなものなのかとても興味があり、色々質問させて頂きました。

 

宮本(以降、宮):イギリスでは一人のお子さんに対し、理学療法士とオステオパスが連携して施術したりする事はあるのですか?

 

英国人D.O.(以降、英D.O.):イギリスでは理学療法士とオステオパスが一緒に連携して施術する事はありません。

なぜなら理学療法士は病院での保険診療で行なっており、オステオパスは自分のクリニックで自費診療しているからです。

 

宮:そうなんですね。以前、あるフランスのオステオパスに聞いた際は、理学療法士と協力して施術すると聞いていたので、イギリスでもそうかと思ってました。

イギリスの理学療法士はどんな事(手技)をされているのですか?

 

英D.O.:残念ながら多くの理学療法士は器具を使ってた方法や、筋肉のストレッチが中心ですね。

 

宮:私は14年間、イギリス発祥のボバースの病院で働いて来ましたが、ボバースがイギリスの脳性麻痺のリハビリでメジャーな方法というわけではないのですね?

 

英D.O.:素晴らしい!理学療法士としてボバースをされてきたのですね!?

ボバースは(イギリスの理学療法の中でも)特別(異色?)だと思います。

 

宮:ボバースはイギリス発祥なので、理学療法における脳性麻痺のリハビリはボバースがメジャーなやり方として認知されているのかと思ってましたが、そういうわけでもない様ですね。

 

英D.O.:多くの理学療法士は保険の範囲内でストレッチ中心に、それ以上をと思う人がオステオパシーは噂を聞いてクリニックに自費診療で来られると言った感じです。

 

宮:私は機能訓練中心のリハビリでは子供に無理をかけ過ぎるので、一時的には機能は上がるかもしれませんが、正常発達から逸脱した代償的な運動発達を促進する事から10年後、20年後といった予後的にはあまり良くない様に思っています。

それより構造面の異常を中心に施術し、運動発達に関しては身体の変化に対して本人が自然に獲得するのを待つ方が、私個人としては良い結果が出る様に思っているのですが、その辺は先生としてはどうお考えですか?

 

英D.O.:もう、あなたの中で答えが出ていますね。

私もその考えに同意します。

頭蓋や筋膜の捻れなどをとってあげる様なオステオパスの仕事は脳性麻痺の子供にとってとても有効な手段だと考えます。

 

宮:良かったです。忙しい中、お話を聞けて良かったです。

有難うございました。

 

英D.O.:是非、頑張ってください!

 

3日間のJTOCの授業が終えて、その後にJTOCのプロモーションビデオのインタビューを撮影するまでの数分間の休憩時間にも関わらず、丁寧にお話して頂けた事、本当に有難かったです。

 

イギリスではオステオパシーは国家資格として社会的に認められていますが、病院で理学療法、自費のクリニックでオステオパシーという形で別々に仕事する体制に関しては日本と同じなのだと感じました。

 

今回伺った英国オステオパスの先生の意見はあくまでオステオパスとしての視点における個人の見解であって、イギリスにおける脳性麻痺のリハビリ全体を正確に表しているものではない事は理解していますが、私の視野を広げるとても有意義な機会でした。

 

今回のお話を聞いて、出来ればこれからオステオパシーを根付かせよう進んでいる日本においては、理学療法とオステオパシーが別々に歩むのではなく、互いに得意分野を活かして一人のお子さんの成長を助けていけるような体制を作りたいと強く感じました。

0985-66-1780
ご予約・お問い合わせはこちら
24時間Web予約はこちら
PAGE TOP