脳性麻痺は進行性の病気ではないにも関わらず、大部分の方は成長期以降、徐々に機能が低下していく傾向が多い様に思います。
実際、私が病院勤務の理学療法士だった時期に、大阪市内の支援学校の高等部へ自立活動の指導という形で携わった時期がありますが、小学校の時は歩行器やクラッチで歩いていたけど、今は歩けなくなったという子供さんがとても多くおられました。
成長に伴う状態の悪化は、ご本人は勿論のこと、ご家族にとっても大きな問題だと思います。
では、なぜ進行性の疾患ではないのに機能が落ちるのかでしょうか?
機能低下する脳性麻痺のお子様によく見られる傾向
これにはいくつかの要因が考えられます。
●成長による身長や体重の増加で身体に掛かる運動負荷量が増えるのに対して、元々の麻痺のある身体では耐えきれなくなるため。
●病院などのリハビリ施設側の受け入れ状況の問題(小さいお子様を優先するが故に、成長するつれてリハビリが徐々に受け難くなる)や、学校などの本人側の都合によるものなどから、小学生の頃より継続したリハビリが受けにくくなる。
●幼い頃からの無理な機能訓練で培った代償的な身体の使い方に起因した身体の変形やそれに伴う痛みが出やすい。
●大きく正常運動から逸脱した身体の使い方であるが故に、身体が大きくなることで持久性や耐久性の低下の問題がより顕著となる。
●成長するに伴う社会活動の場の拡大に対し、身体機能が対応しきれなくなる
などなど、様々な要因が絡み合い、機能低下していくのであろうと考えます。
では、どうすれば少しでも成長に伴う機能低下を抑え、より快適に自分の身体と長く付き合っていけるのでしょうか?
これに関しては、次の記事で私の考えを書いていこうと思います。